究極の自重筋トレ

 私は趣味で筋トレを行っているが前々から目標が無いことを悩んでいた。最初の頃は目標が無くてもガンガンできた。腕立て伏せをやった分だけどんどん成長が感じられたからだ。がそれもある一定のところまで行くと伸び悩み、ではウェイトトレーニングか、確かにバーベル何Kg持てる?なら目標が持ちやすい。が、怪我しやすい、器具が必要などであまりいいイメージを持っていなかった。そこでポール・ウェイト氏が書いた著書「プリズナートレーニング」が目に入って読んでみた。

 そこにはウェイトトレーニングなど不要!自重トレーニングだけで最強の体が作れる!と書いてあって、ホントかよ?と疑問に覚えながら読んでいったがその中で腕立て伏せ(本書ではプッシュアップ)の最後のステップに片手腕立て伏せがあった。正直、これ出来るの?と思ったが、見ているうちにだんだん「これ出来たらカッコイイよね!」という感情が芽生えてきた。

 とりあえずやってみようと腕立て伏せの6ステップ目、クローズプッシュアップからやった。この筋トレの特徴が弾みを基本的に禁じているところだ。キス・インザベイビー(赤ちゃんにキスするように)と書かれているが、つまり腕立て伏せならゆっくり腕を曲げて、地面に近づいた時に1秒ほど止まり、再び2秒ほどかけて元の姿勢に戻る、という訳だ。今まで筋トレをするときは勢いをつけながらやることが当たり前だったからこれには閉口した。同じ腕立て伏せでも競技が変わるぐらい別物になってしまう。クローズ・プッシュアップは10回も出来ずに挫折した。

 これは少々筋肉に自信があったからショックな出来事だった。結局そのあとも少しはやったが長続きせずに半年頃でまた前の筋トレに戻っていた。が、再び本を読みなおすと私が間違っていたのはメニューの設定にあることに気が付いた。今までの筋トレは毎日やるのが当たり前だったから、ひたすら毎日やった。が、このプリズナートレーニングのメニューはだいたい1種目20回を2セットできたら次のステップに進み負担がでかくなっていく。これはウエイトトレーニングのバーベルの重さの設定の話だが50回も出来る重さは軽すぎ、5回も出来ないのは重すぎるそうだ。そういう意味でもプリズナートレーニングの本は「質と量は両立できない」とはっきり書いてある。何回もできるメニューは筋肉の向上という意味では全く無意味だ。スタミナだけが付いていくとのこと。私のトレーニングはひたすらスタミナだけを増やしていたトレーニングだった。それがプリズナートレーニングのような質を上げるトレーニングに変わったものだからその仕組みをよく理解していなかったのが挫折の原因だったわけだ。

 1日2種目、そして1日~2日間は間をとって筋肉を回復させる。次のステップにとんとん拍子で行かなくても焦らない。今やっている動作を愛して一つ一つこなしていく。そうしていくうちに腕立て伏せは現在ステップ8のワンハーフ・プッシュアップをやっている。ここまで来るのにだいたい1年ほどかかったが、最近はいかにピタッと動作を止めれるか、つまりコントロールできるかを重点において行っている。そうしているうちにできた、という感覚だ。急がば回れという訳ではないが本書の中でも引用されているように「重いウェイトは逃げないぞ」(ウェイトトレーニングのコーチが焦っている新人に言う言葉)ということだ。これからも一つ一つ積み重ねていって片手腕立て伏せをできるようにしたい。